第3種電気主任技術者試験、通称電験3種はマークシート式の試験。下手をすれば、適当に選んだ選択肢が正解、なんてことも十分に起こり得る資格です。
しかし、合格率はかなり低いです。合格率一桁、なんて年がかなり続いています。とはいえ、簡単な試験と言われる危険物取扱者乙4類ですら、合格率40%切る、なんてこともありますので、単純に合格率だけでは難易度は判断できません。他資格と比較して、そんなに難易度は高いのでしょうか?
使用する「数学」のレベルは高くない
電験3種レベルであれば、それほど難しい数学を使うわけではありませんので、試験レベルは一般に「工業高校レベル(電気科)」と評されます。
理工学系の人であれば、数学とは長く付き合っていく事になると思います。そういった方々からすれば、電験3種の数学レベルはパッと見「簡単だな‥」と思うことでしょう。それどころか、電験2種や電験1種ですら、数学的に難しいことをやっているわけではありません。単に周辺知識の物理的な理解が必要、というだけの話です。まあ、それに時間が必要なわけですが‥。
一から勉強するとかなりの時間が必要
数学的に難しくないから簡単とは言えません。多くの難関試験でも計算問題は単純な問題が出る、なんてことも少なくありません。
しかし、電気の科目をほとんど勉強していなかった場合、勉強がほぼ一から始める形となるため、結構大変です。
一般に「400時間」の勉強時間が必要と言われていますが、それはある程度の事前知識がある人の話です。特に高校物理をしっかりやっているかいないかは大きいです。
文系に進んで、数学も物理もガッツリとはやっていなかった場合、「1000時間」程度の勉強時間を見ておくほうが良い、という説もあります。理系の人が英語を学習し直す場合も、やっぱり1000時間以上は必須と言われることが多いですので、ある程度妥当な数字だと思います。
ひっかけ問題が多い
数式を暗記しているだけで応用ができないレベルの場合、設問者が設定した「ひっかけ問題」にあっさりとつまづく可能性があります。
「無意味な選択肢」は少なく、何かを誤解していたり、勘で答えようとすると中々選択肢が絞れないように作られています。
もちろん、8割以上理解できていればひっかけ問題でもなんでもないのですが、電験3種を8割理解できれば電験2種も受かるレベルですからね‥。
他の資格と比較すると‥?
電験取得を特に推奨される業界として、建物の施工管理と保守管理があると思います。それぞれの関連資格と難易度を比較していきます。参考に、情報・通信系資格との比較も書いておきます。
施工管理系
消防設備士
計算はほぼなく、暗記のみでいける資格。勉強時間はかかるものの、難易度が高いとはいえません。マークシート式ですが、電験よりひっかけ問題が少なく、素直に得点できます。
ただし、各類ごと8つに分かれているため、特類を含めた全類を取得しようと思うとむしろ電験3種よりも取得難易度が高いです。勉強時間目安は特類以外の各類一つにつき40~50時間程度。
電気工事士
筆記試験に関しては、電験の下位資格。計算問題も単純化されており、素直な問題が多いです。
ただし、実技試験は別。電験に簡単に受かる人でも、電気工事士に何度も落ちる人もいます。勉強時間は筆記+実技合わせても100時間もかからないはずではありますが、実技の練習時間をかけるのが苦手、という人もいるでしょう。ある意味、合格率の割には難易度が高い試験です。
保守管理系
ビル管(建築物環境衛生管理技術者)
過去問の周回でもいける試験ですが、逆に過去問の周回以外の手段では受かるのが難しい奥深い試験。試験のタイプとしてはエネ管に近いでしょうか。要求される知識レベルは高いけれど、資格者数が必要なため合格はしやすくなっている、という感じ。
勉強時間の目安は200~300時間くらい見ておけば間違いないようです。
エネ管(エネルギー管理士)
電験2.5種とも呼ばれる資格。要求される知識は電験3種より高度です。
しかし、やはりマークシート式の試験。しかも、問題の形式は割と勘で答えても正解しやすい複数の選択肢からいくつかの小問に答えていく形式。しっかり理解しておかないと、理解度ごとに考え抜かれたひっかけポイントが用意されている電験3種とは違い、「理解していなくても解ける」という性質があります。
合格率もエネ管の方が高いです。合格率だけでは判断できませんが、ある意味電験3種の方が難易度は高いかもしれません。
情報・通信系
応用情報技術者
通称AP。情報処理機構の試験の中でも中堅に当たる試験です。高度試験の午前試験レベルに相当します。
合格率は20%前後。一般に、情報系試験の内容は実務との関連が他の資格試験に比べ強く、実務経験者が簡単に合格するため合格率が高くなる‥という説もあります。
とはいえ、体感的にはやはり学生や社会人歴一桁の人が受ける試験。午前試験は過去問反復でいけますし、午後試験は選択問題なので得意問題に絞れば良いです。電験3種と比較すると合格しやすい、という印象。
下位資格の基本情報技術者から取得して、合計の勉強時間で200~300時間以内には収まるのではないでしょうか。
電気通信主任技術者
通称、通信の電験。通信の工事士と呼ばれる工事担任者もあります。
電験3種と同じく科目合格もありますが、特筆すべきは年に2回受験できるという点。取得のしやすさでは確実に電験より勝ります。
受験者数はそれほど多くないのでなんともいえませんが、弱電資格を集めている方にとっては無線系資格(1陸技など)の科目免除に使えたりするため、一定の知識が証明できる資格と言えると思います。
その上で、合格率は20%程度。どちらかといえば、電験よりエネ管に近い感じでしょうかね。要求される知識は難しいけど、取得はしやすい感じ。ひっかけ問題は少ない印象です。
勉強は計画的に!
電験3種は電験の中でも一番下位の資格でありながら、上位とされるエネ管や電験2種にも劣らないやっかいな試験です。
場合によっては、科目合格を活用して計画的に取得するのも有効だと思います。
少なくとも1年以上の勉強計画を立てておくこともオススメします!